スポットライトは今ここに

東京でしずかに息をしています

60万貸して、最終的にあげちゃった話

残念なことに、人生ではじめて貯蓄ゼロになりました。

 

 

この記事では、
人に、お金は、ぜったい貸さないほうがいいです。
というあたりまえすぎる事実を、ノンフィクションでお話ししています。

 

とくに若い10代、20代の人たちに伝えたいです。
相手が親友でも、恋人でも、どんな事情であれ、お金を貸すことはお金をあげることと同じだと思ったほうがいいです。

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昔付き合っていた人に、お金を貸していた時期があります。

 

お金を人に貸したのはあとにもさきにも、この時だけです。
少額ずつですが、純粋に貸した総額は約60万。

社会人になりたてだった私は、当時付き合っていた彼女と一緒に賃貸アパートで暮らしていました。

事の発端は、彼女が精神を病んで仕事を辞めたことがきっかけです。もともと世の中にたいして戦闘能力が低く、繊細な心の持ち主でした。類は恋人を呼ぶので、私もほとんどおなじようなメンタルです。きっとナイーブな感性同士で引き寄せあっていたんだと思います。

 

友達が気軽にしてくる、何年付き合ってるの~?というあの質問。それに答えるたびに「嘘でしょ・・・?」と驚きと若干引いているような反応を毎回もらえるくらい、私たちは長い時間を共にしてきました。
本当になにも知らない若者でしたが、彼女のことが大好きでした。

 

いいところも、わるいところも、たくさん見せ合いました。じわじわと段階を踏んで、お互いがお互いに、悪い意味で甘えるようになっていきました。機嫌がよくない時にやつ当たってしまったり、部屋が片付けられないことを容認してもらったり。

好きで、好いてほしかった恋人が、いつしか自分の悪いところを許してくれる存在になっていったんですね。

 

そうこうしているうちに、彼女の貯金が底をついてきました。
生活費は自分たちでつくったルールに基づいて、可能な限り折半でやりくりしていましたが、もうそれもできなくなっていきました。

 

できれば彼女と一緒にいたかったのですが、私は何度か、彼女に実家へ帰ることを勧めました。

でも、彼女は実家の居心地悪さを理由に帰ろうとはしませんでした。
はい、ここです。
ここの場面の私に言いたい。目を合わせて、正面から大声で言いたい。
もっと本気で交渉してください。

 

ただ彼女がここにいたいと言うし、それなら私もここで頑張れるように応援したい。
一緒に頑張っていきたい、支えたい。幸い自分の収入は安定しているし貯金もある。
少しくらいなら助けになれる。

そんな純粋な気持ちで、記録をつけながら、少額ずつ貸し始めました。

過去に戻りたいと思いますか?
エス。私はこの瞬間に戻って、私は自分を揺さぶって説得したい。
誰にも相談することのなかった自分を。

 

 

事態は悪くなる一方で、そこから数か月の色々はすっ飛ばしますが、段階を踏んで、結果的に別れることになりました。同棲も解消しました。

あ~~
ここからの展開はお察しの通りです。

 

私が仕事に行っているタイミングで、彼女は最低限の衣類や書類などの荷物をまとめて実家に帰りました。合鍵を返却され、段ボールで送れるものはこちらから送り、最終的には私も思い出の家から引っ越すことに決めました。

同棲していた部屋で、その後もひとりで生活を続けるメンタルは私にはありませんでした。

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別れ際に彼女は「あなたは私を依存させるだけさせて捨てた」と言いました。
私もひどい言動をたくさんしてきたので、もうどっちが悪いとかは全然思いませんが、支えたかった気持ちをそんなふうに捉えられてしまうのはすこし悲しいな、と思いました。

不必要になった大型家具の処分に数十万かかりましたが、そんなことを言われてしまったのでこの部分はすべて自己負担です。金額は記録しませんでした。結果的に良かったです。

直後は大袈裟ではなく、別れた直後はそのうち彼女から刺されるんちゃうかと本気でおびえていました。浮気はしてないです。

 

ただ、彼女は“借りたお金は必ず返します。”と言ってくれており、銀行口座を介して入金をするたび連絡をくれていました。半年くらいたったころには、なんでもない連絡が取れるようになり、1年後くらいには電話したり、会ってお茶したりできるようにもなれました。お互いにあたらしい恋人もいて、未練もなく、です。

 

久しぶりに会って、もう復縁はないと確信があったとしても、やっぱり長年なんども会話をした相手です。話すのめちゃめちゃ楽しい。そうそうこの空気感、このテンポだったな、と、寄りを戻さない相手に恋愛とはまた別の、親しみの気持ちが高まっていきました。

彼女の性格の傾向も、よくない癖も知っています。
私はそれまでの清算として、これからの自分が気持ちよく生きていくために、ひとつの決断をしました。

 もう過去に貸したお金、ぜんぶ返さなくていいよって言おう。

 

なにを馬鹿なことを言っているんだ、と思うでしょうか。私も思います。
でも、何度考えなおしても、私にはこの選択肢しかありませんでした。

もともとのお金の管理が計画的とはいえない彼女から、お金が返ってくるのをいつまで待ち続けたらいいんだろう。ずっと彼女の心のどこかにプレッシャーをかけ続けながら。

借金している私に、本人自ら任天堂Switchを買ったことをわざわざして申告してしまう彼女。仕送りなどはもちろん無く、新卒で心をすり減らしながら仕事に向かう姿を、ずっと隣でみていてくれた彼女よ。


あなたにはもう、返済は無理だ。私はそれを待ち続けることはできない。
お互いにどこか引っ掛かりを感じながら、この終わらないお金だけの関係を、何年も何年も続けていきたくない。

そうして耐えかねた私のほうから呼び出しました。
およそ3時間くらいの1度きりの会合で、もうお金はいいです、わかりました、と
あっさり清算がついたのです。

 

 

現在、なぜか無職になってしまい、貯金がなくなってしまったのは、完全なる私の計画ミスです。私が決めたことなので、彼女を責める気持ちもありません。感謝の気持ちもたくさんあります。ちょっと高額な勉強代だったと思っています。

でもまちがいなく貧困の民になってしまった、今、あの60万があれば、としょっちゅう考えてしまうことを許してほしいです。
彼女は元気に仕事をしているんだろうか、あたらしい恋人と幸せなんだろうかと、ややドロっとした感情になってしまうことを、許してほしいです。

 

もうしばらくは会えません。
これは素直な気持ちですが、どうか、元気に生活を送っていてください。

でも、残念だけど、私たちあんまり頭が良くないから、数年後にはまた楽しくお茶でもしているかもしれないね。